業務のAI活用 ・ 2026.09.15

AIエージェントとは?生成AIとの違いと管理部門の活用例を解説

AIエージェントと生成AIの違いを解説
目次
  1. AIエージェントとは?一言でいうと
  2. 生成AI(ChatGPTなど)との違い
  3. 管理部門での活用例
  4. 当社アイディーエスでの活用事例
  5. AIエージェントが仕事を進める仕組み|3ステップ
  6. 導入前に知っておきたい注意点
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ

「AIエージェント」という言葉を耳にする機会が増えましたが、「生成AIと何が違うのか」「管理部門の仕事に関係あるのか」が分からない、という声をよく聞きます。AIエージェントとは、目的を伝えると、自ら手順を考え、必要なツールを使いながら業務を完了まで進めるAIです。ChatGPTなどの生成AIが「答えを作るAI」なら、AIエージェントは「実際に業務を進めるAI」と言えます。

この記事では、総務・人事・経理などの管理部門の方に向けて、専門用語をできるだけ使わずに、次の内容を分かりやすく解説します。

  • AIエージェントとは何か、生成AI(ChatGPTなど)と何が違うのか
  • 管理部門ではどのような業務に活用できるのか
  • AIエージェントが仕事を進める仕組みと、導入前に押さえておきたいポイント

AIエージェントとは?一言でいうと

AIエージェントとは、与えられた目的を達成するために、状況を把握し、自分で手順を決め、必要なツールを使って行動するAIのことです。「エージェント(agent)」は「代理人」という意味で、人の代わりに動く存在を指します。

総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインでも、AIエージェントは「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」と定義されています。

身近な例でいえば、「来週の会議室を予約しておいて」と頼んだときに、空き状況を調べ、候補を比べ、予約を入れ、参加者に連絡するところまでを一人で済ませてくれる秘書のような存在です。

生成AI(ChatGPTなど)との違い

生成AIとAIエージェントの違い

生成AIとAIエージェントは別のものではなく、密接に関係しています。AIエージェントは生成AIを「考える役割」として活用しながら、必要なツールを操作し、状況に応じて手順を組み立てて業務を進めます。つまり、生成AIの回答生成能力に、「ツールを使う力」と「業務を進める力」を組み合わせたものがAIエージェントと考えると分かりやすいでしょう。

両者の違いを表にまとめると、次のようになります。

比較項目生成AI(ChatGPTなど)AIエージェント
人が渡すもの質問や指示(都度入力)目的・ゴール
AIが返すもの文章・要約・翻訳などの回答完了した業務の結果と報告
ツールの利用主に回答を生成するメール、ファイル、社内システムなどを利用して業務を実行する
手順の決定人が都度指示するAIが目的に応じて計画し、必要に応じて修正する
人の関わり方会話の相手として利用する依頼者・承認者・確認者として関わる

生成AIは「質問→回答」

生成AIは、質問や指示に対して文章や要約、翻訳などの回答を生成するAIです。たとえば「この規程の要点を3行でまとめて」と依頼すれば、すぐに要約を作成してくれます。

一方で、その内容を社内ポータルへ掲載したり、関係者へ共有したりする作業は人が行う必要があります。生成AIの主な役割は、情報を整理し、回答を作成することです。

AIエージェントは「依頼→実行→報告」

AIエージェントは、単に回答を作るだけでなく、与えられた目的を達成するために必要な作業を実行します。

例えば、「この規程の要点をまとめて社内ポータルに掲載し、部門長へ連絡してほしい」と依頼した場合、要約の作成だけでなく、ポータルへの投稿や連絡文の作成・送信までを一連の業務として進めます。

また、作業途中で確認事項や想定外の状況が発生した場合には、状況に応じて対応方法を判断しながら進め、最後に結果を報告します。

このように、生成AIが主に「回答を作る」のに対し、AIエージェントは「業務を進める」ことまで担う点が大きな違いです。

管理部門での活用例

管理部門におけるAIエージェントの活用例

管理部門の仕事のうち、AIエージェントに任せやすいものを4つの型に分けて紹介します。

型仕事の例AIエージェントがすること
依頼対応各種証明書の発行依頼、住所変更・扶養変更などの申請受付、社内問い合わせ対応依頼内容を確認し、必要情報を収集して処理を進める
書類作成在職証明書、雇用契約書、議事録、社内通知文社内データをもとに定型書類を作成する
照合・チェック請求書と台帳の照合、経費精算の確認、申請内容の不備チェック複数のデータを比較し、差異や不備を抽出する
通知・連絡契約更新期限の通知、承認依頼の催促、定期的なリマインド状況に応じて関係者へ通知やリマインドを行う

当社アイディーエスでの活用事例

ここで当社での活用事例をご紹介します。

請求書・見積書の押印依頼

当社では、営業担当が管理部へ依頼する請求書・見積書の押印にAIエージェントを活用しています。

従来は、営業担当がSlackで押印を依頼すると、管理部の担当者がPDFを開いて内容を目視で確認し、押印して返送し、さらに販売管理システムへ登録するまでを手作業で行っていました。依頼は月に100件を超え、1件ごとに確認・押印・登録の3つの作業が発生していました。

現在は、営業担当がSlackに押印依頼を投稿すると、AIエージェントが依頼を検知し、添付された書類の内容を読み取ります。請求書であれば販売管理システムの売上データと照合し、内容に差異があれば管理部へ報告します。押印は、照合の結果や上長の承認など、社内で決めた承認のルールを満たした書類に限って自動で行い、返送や販売管理システムへの登録まで進めます。依頼の投稿から返信までは、通常1〜2分ほどで完了します。

管理部の担当者が対応するのは、照合で差異があった場合や、承認のルールを満たしていない場合、様式が想定外の場合です。どの条件で押印してよいかは人が決め、AIエージェントはそのルールに沿って処理しています。その結果、確認や登録の手間が減り、月末業務の負担軽減につながっています。

具体的にどの業務がAIエージェントに向いているのか、また人が担当した方がよい業務については、以下の記事で詳しく解説しています。

AIエージェントが仕事を進める仕組み|3ステップ

AIエージェントが仕事を進める3ステップ

AIエージェントは、一般的に次の3つのステップを繰り返しながら業務を進めます。

ステップAIがすること秘書にたとえると
① 理解する目的を読み取り、ゴールや制約条件(期限・ルールなど)を把握する依頼内容や締め切りを確認する
② 計画して実行する必要な作業を洗い出し、メールやファイル、社内システムなどのツールを使って進める調べ物をし、書類を作成し、必要な手続きを行う
③ 確認して報告する結果を確認し、必要に応じて修正したうえで完了報告を行う仕上がりを確認して依頼者へ報告する

例えば、「先月分の請求書と台帳の内容が一致しているか確認してほしい」という依頼を受けた場合、AIエージェントは自動でシステムから請求書データや台帳データを読み取り、自動で照合を行います。そして差異が見つかった場合は一覧化し、担当者へ報告します。

このように、単に回答を作るだけでなく、複数の作業を組み合わせて目的達成まで進めることが、AIエージェントの特徴です。

当社でも、こうした仕組みを管理部門の業務に活用しています。実際に導入してみると、特に効果が大きかったのは経理処理の照合確認です。データや業務の内容自体は比較的シンプルでしたが、人が目視で確認していたため多くの時間を要していました。それがAIエージェントの活用によって、数分で完了できるようになりました。

導入前に知っておきたい注意点

AIエージェント導入前の3つの注意点

AIエージェントは便利ですが、「自律的に動く」からこそ気をつける点があります。3つに絞ってお伝えします。

1. 権限の範囲を決める

AIエージェントはファイルやシステムを操作します。最初は「読み取りだけ」「下書きを作るまで」のように範囲を狭くし、信頼できると分かってから広げるのが安全です。前述のAI事業者ガイドラインでも、AIエージェントについては人による監視や介入の仕組みを求めています。

2. 間違いはゼロにならない前提で組む

AIは自信をもって間違えることがあります。「AIが作った結果を人が確認してから確定する」というチェックポイントを、業務の中に必ず1か所は置いてください。

3. 最初の1業務を小さく選ぶ

いきなり全社の業務を任せようとすると、要件が膨らんで進みません。「毎週発生する」「手順が決まっている」「間違えても取り返しがつく」仕事から始めるのが定石です。

総務省の令和7年版情報通信白書では、企業が生成AIを活用するうえで「効果的な活用方法がわからない」ことが課題として挙げられています。AIエージェントも同様に、まずは対象業務を明確にすることが導入の第一歩です。失敗しやすいパターンと始め方は、以下の記事で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

RPAとAIエージェントは何が違うのですか?

RPAは、あらかじめ決められた手順をそのまま実行する自動化ツールです。一方、AIエージェントは目的に応じて必要な作業を考えながら業務を進めます。そのため、書式の違いや例外的なケースにも対応しやすい点が特徴です。 詳しくは、関連記事「RPAとAIエージェントの違い」をご覧ください。

AIエージェントを導入すると、人の仕事はなくなるのでしょうか?

多くの場合、AIエージェントは人の仕事をすべて置き換えるのではなく、定型的な作業や情報収集、転記、チェック業務などを支援・代行する形で活用されます。 特に管理部門では、最終確認や判断、例外対応などは引き続き人が担当するケースが一般的です。

導入にプログラミングなどの専門知識は必要ですか?

必ずしも必要ではありません。業務内容を整理し、「どの業務を自動化したいか」を明確にすることが重要です。システム構築や技術的な設定は、専門部署や外部パートナーと連携して進めることができます。

どの業務から始めるのがよいですか?

まずは「定期的に発生する」「手順が決まっている」「成果を確認しやすい」業務から始めるのがおすすめです。 例えば、各種証明書の発行、請求書や会計データの照合、契約更新期限の通知など、定期的に発生し手順が決まっている業務は、管理部門で取り組みやすい代表例です。

まとめ

  • AIエージェントとは、目的を渡すと自分で手順を考え、ツールを使って仕事を完了まで進めるAIです
  • 生成AIが「質問→回答」なら、AIエージェントは「依頼→実行→報告」まで担当します
  • 管理部門では、依頼対応・書類作成・照合・通知の4つの型が任せやすい仕事です
  • 導入時は、権限を狭く始める・人の確認を1か所置く・小さな業務から始める、の3点を押さえてください

AIエージェントは、人を置き換えるためではなく、人が行っている定型業務を補助・代行するための仕組みです。

「自分の部門ではどの業務から始められるか」を知りたい方は、お気軽にご相談ください。業務の棚卸しから、最初の1業務の選定までを一緒に行います。

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