業務のAI活用 ・ 2026.10.21

RPAとAIエージェントの違い|使い分けと乗り換えの判断基準

RPAとAIエージェントの違いと使い分けの判断基準
目次
  1. RPAとAIエージェントの違い
  2. 管理部門の業務例|RPAに向く業務とAIエージェントに向く業務
  3. RPAとAIエージェントの使い分けを判断する3つの基準
  4. RPAからAIエージェントへの乗り換えを考えるタイミング
  5. RPAとAIエージェントを使い分けた業務の例
  6. RPA・AIエージェントの導入や乗り換えで注意したいこと
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ

「RPAとAIエージェントは、何が違うのか分からない」「すでにRPAを使っているが、AIエージェントに替えたほうがよいのか」。業務の自動化を進めている管理部門では、こうした疑問がよく聞かれます。

どちらも業務を自動化する仕組みですが、得意な作業は異なります。RPAは、決められた手順を正確にくり返す作業が得意です。一方、AIエージェントは、形式が異なる情報を読み取ったり、状況に応じて必要な処理を進めたりする業務に向いています。ただし、判断の内容やリスクによっては、人による確認を組み合わせることが重要です。

そのため、「RPAは古いからAIエージェントに替える」「AIエージェントがあればRPAはいらない」と考えるのではなく、業務の性質に合わせて使い分けることが大切です。

「自社の業務にはどちらが合うのか判断したい」「今のRPAを替えるべきか迷っている」という方は、自社の業務を思い浮かべながら読み進めてみてください。

RPAとAIエージェントの違い

RPAとAIエージェントの動き方の違いを比較した図。RPAは決められた手順をそのとおりに実行し、AIエージェントは情報を読み取りながら次の処理を選ぶ

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、人がパソコンで行っている操作を、決められた手順どおりに自動で再現する仕組みです。画面のどこをクリックし、どの欄に何を入力するかをあらかじめ設定しておき、そのとおりに動きます。

AIエージェントは、与えられた目的に向けて、情報を読み取り、状況に応じて判断しながら複数の処理を進める仕組みです。書類や文章の内容を理解し、次に何をするかを選びながら作業を進められます。

比べる点RPAAIエージェント
動き方決められた手順をそのとおりに実行する目的に向けて、情報を読み取りながら次の処理を選ぶ
得意な作業同じ画面・同じ様式での入力や転記、決まった条件での集計様式がばらばらな書類の読み取り、文章の作成や要約、例外の整理
苦手な作業手順にない例外への対応、様式が毎回違う書類判断の根拠が不明確な業務、正確性が特に重要で人の確認が欠かせない業務
手順や様式が変わったとき画面や手順が変わると、設定の修正が必要になりやすい様式の違いには対応しやすいが、読み取り結果の確認は必要
結果の再現性同じ条件であれば、設定された手順に沿って同じ処理を実行しやすい同じ入力でも、生成する文章や判断の結果にばらつきが出ることがある

この表のとおり、RPAとAIエージェントの違いは、単にどちらが新しいかではありません。決められた手順を正確に実行する作業が得意なのか、情報を読み取り、状況に応じて処理を進める作業に向いているのかが、大きな違いです。

ただし、両者の機能が完全に分かれているわけではありません。AIの機能を組み合わせたRPAもあり、AIエージェントにも決まった手順を実行させることができます。大切なのは、ツールの名称だけで判断せず、自動化したい業務の内容に合わせて選ぶことです。

AIエージェントそのものの仕組みについては、以下の記事で解説しています。

管理部門の業務例|RPAに向く業務とAIエージェントに向く業務

では、管理部門の業務では、それぞれどのような業務が向いているのでしょうか。部門ごとに、代表的な業務を分けてみます。

部門RPAや通常の自動化が向いている業務AIエージェントが向いている業務
総務FAX・メールの受信通知、備品の在庫数の集計社内規程や関連資料を参照した問い合わせ対応の支援
人事・労務勤怠データの集計、給与システムへの転記自治体ごとに様式が異なる提出書類への情報転記
経理決まった形式のデータを会計システムへ入力取引先ごとに様式が異なる請求書の読み取り・情報整理
法務契約の更新期限の通知契約書の条項を自社の基準と照らし合わせる一次チェック

※表の右側はAIエージェントの活用例ですが、実際に必要な仕組みは業務の要件によって異なります。例えば、請求書の読み取りだけならAI OCRで足りる場合もあり、読み取り結果を照合し、例外を整理して後続処理まで進める場合はAIエージェントが選択肢になります。

左側の業務は、処理の手順や条件があらかじめ決まっており、そのルールに沿って繰り返し実行できるものです。一方、右側の業務は、書類の様式や文章の内容に応じて情報を読み取ったり、複数の情報を照らし合わせたりする作業が含まれます。

ただし、右側の業務も、必ずAIエージェントが必要というわけではありません。読み取りだけならAI OCR、決まった条件での転記や通知なら通常の自動化で対応できる場合があります。複数の情報を確認し、状況に応じて処理を進める必要があるかどうかも、仕組みを選ぶ際の判断材料になります。

同じ部門の中でも、業務によって向いている仕組みは異なります。部門単位で決めるのではなく、業務ごとに必要な処理や判断を整理することが大切です。

AIエージェントの活用例は、以下の記事でも紹介しています。

RPAとAIエージェントの使い分けを判断する3つの基準

自社の業務がどちらに向いているかは、次の3つの基準で判断できます。

基準確認すること当てはまる場合当てはまらない場合
① 手順の固定度毎回同じ手順で処理できるかRPAや通常の自動化で対応しやすい条件分岐などで対応できるか確認し、難しい場合はAIエージェントも検討する
② 入力形式の統一度書類やデータの形式がそろっているかRPAや通常の自動化で対応しやすいAI OCRなどで形式の違いに対応できるか検討する
③ 判断や例外の多さ内容を読んで判断する場面や例外が多いかルール化できる範囲は通常の自動化で対応し、複雑な情報整理にはAIエージェントを検討するRPAや通常の自動化で対応しやすい

① 手順の固定度

毎回同じ画面を開き、同じ順番で入力や確認を行う業務は、RPAや通常の自動化で対応しやすい業務です。一方、内容によって次に行う作業が変わる業務では、条件分岐の設定で対応できるかを確認します。あらかじめルールを決めにくく、状況に応じた情報の整理や処理の選択が必要な場合は、AIエージェントが選択肢になります。

② 入力形式の統一度

自社で作成したデータや決まった様式の書類だけを扱う業務は、項目の位置や形式が一定のため、決まった手順で処理しやすい業務です。一方、取引先や自治体ごとに様式が異なる書類では、AI OCRなどで情報を読み取る方法が考えられます。読み取った情報の整理や照合、その後の処理まで連続して進める必要がある場合は、AIエージェントの活用も検討できます。

③ 判断や例外の多さ

「請求書の金額と会計データが一致しているか」のように、明確なルールで判定できる業務は、通常の自動化で対応しやすい業務です。一方、文章の内容を読み取って情報を整理したり、複数の情報を踏まえて次の処理を選んだりする業務では、AIエージェントが選択肢になります。ただし、金額の不一致や契約内容など、誤りが大きな影響につながる場合は、AIの結果を人が確認する仕組みが重要です。

3つの基準で判断が分かれる業務もあります。その場合は、決まった処理はRPAや通常の自動化で行い、形式の異なる情報の読み取りや状況に応じた処理の選択にはAIエージェントを活用するなど、1つの業務の中で役割を分ける方法もあります。

業務の特徴からRPA・通常の自動化・AI OCR・AIエージェント・人の確認を使い分ける考え方を示した図

どの業務をAIに任せるかの考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。

RPAからAIエージェントへの乗り換えを考えるタイミング

すでにRPAを使っている場合、すべてをAIエージェントに替える必要はありません。RPAの限界を感じる場面が増えてきたときが、乗り換えや併用を考えるタイミングです。

乗り換えや併用を考えるサイン理由
画面や操作手順が変わるたびに、RPAの修正が必要になる修正や動作確認の負担が増え、自動化の効果が小さくなることがある
書類の様式がばらばらで、RPAでは対応しきれない様式ごとに設定が必要になり、管理や修正の負担が増える
例外が多く、人が頻繁に作業を引き継いでいる自動化できる範囲が限られ、人の確認や手作業が多く残っている

一方で、いまのRPAが安定して動き、効果も出ている業務は、そのまま使い続けて問題ありません。乗り換えるかどうかは、次の4つの選択肢から考えます。

選択肢向いている状況
いまの仕組みを続けるRPAが安定して動いており、修正や手作業による対応が少ない
一部だけAIエージェントにするRPAで処理できない書類の読み取りなど、特定の作業だけをAIエージェントに任せたい
併用するRPAとAIエージェントを連携させ、決まった操作と情報の読み取り・整理を組み合わせたい
AIエージェントへの乗り換えを検討する業務全体で例外や状況に応じた判断が多く、既存のRPAを維持するより別の仕組みが適している可能性がある

乗り換えを考えるときは、「RPAか、AIエージェントか」の二者択一ではなく、業務のどの部分でつまずいているかを先に確認することが大切です。

なお、乗り換えを検討する際は、作業のしやすさだけでなく、新しい仕組みの導入費用や運用費用、保守にかかる負担も含めて比較しましょう。自動化できる範囲が広がっても、費用や管理の負担が大きくなる場合は、現在の仕組みを継続したほうが適していることもあります。

導入後の運用や保守の負担を抑える体制づくりは、以下の記事で解説しています。

RPAとAIエージェントを使い分けた業務の例

ここでは、管理部門の業務を例に、RPAや通常の自動化だけで十分な業務と、1つの業務の中でRPA・AIエージェント・人の役割を分ける業務を紹介します。

RPAや通常の自動化で十分な例:勤怠データの集計と給与システムへの転記

毎月の給与計算の前には、勤怠システムから勤怠データを出力し、集計して給与システムへ転記する作業があります。

この業務は、毎月同じ形式のデータを、決まった手順で集計し、給与システムへ転記する作業です。手順と入力形式が決まっており、内容を読み取って判断する場面もほとんどありません。そのため、RPAや通常の自動化で対応しやすい業務です。

AIエージェントを使わなくても、決まった手順で処理できる仕組みを作れます。手順が明確で、判断を必要としない業務では、RPAや通常の自動化を使うことで、安定した処理を実現できます。

1つの業務の中で使い分ける例:取引先から届く請求書の処理

一方、取引先から届く請求書の処理は、1つの業務の中に性質の違う作業が含まれています。

請求書は取引先ごとに様式が異なり、金額や品目の書き方もさまざまです。こうした書類の読み取りや、発注データとの照合で見つかった差異の整理は、決まった手順だけでは対応しにくい作業です。一方で、請求書が届いたことの検知や、会計システムへの入力は、決まった手順で処理できます。

そこで、作業ごとに向いている仕組みを分けると、次のようになります。

作業担当分ける理由
メールや共有フォルダに請求書が届いたことを検知する通常の自動化届いたら処理を始める、という決まった手順のため
請求書から取引先名・金額・品目などを読み取るAI OCR(必要に応じてAIエージェントと連携)取引先ごとに様式が異なり、情報の位置が一定でないため
発注データと照合し、決められた条件に合わないものを抽出する通常の自動化金額や品目など、決められた条件で比較できるため
差異に関係する情報を読み取り、理由の候補や確認事項を整理するAIエージェント(必要に応じて)複数の情報をもとに、差異の原因として考えられる候補や、人が確認すべき事項を整理するため
照合で問題がなかった請求書を会計システムへ入力するRPA入力する画面と項目が決まっており、ルールに沿って処理できるため
差異のある請求書の確認と、支払いの承認人お金の支払いに関わり、誤りの影響が大きい判断のため
請求書の処理を例に、RPA・AIエージェント・AI OCR・通常の自動化・人の確認で役割を分けた業務の流れ図

このように、1つの業務の中でも、作業ごとに向いている仕組みは異なります。様式がそろった請求書だけを扱う場合は、読み取りをAI OCRに任せるだけで足りることもあります。どこまでをAIエージェントに任せるかは、扱う書類の種類や、差異がどのくらい発生するかによって変わります。

AIエージェントだけで業務全体を動かすのではなく、RPAや通常の自動化と組み合わせ、判断が重い場面には人の確認を残すことで、正確さと効率の両方を保ちやすくなります。

RPA・AIエージェントの導入や乗り換えで注意したいこと

RPAやAIエージェントを導入するとき、あるいは乗り換えるときには、次の3つに注意します。

1. まずは一部の業務から切り替える

複数の業務をまとめて切り替えると、問題が起きたときに原因を見つけにくくなります。まずは1つの業務、あるいは業務の一部から切り替え、安定して動くことを確認してから対象を広げていきます。

2. 人の確認を残す

AIエージェントの読み取り結果には、誤りが含まれることがあります。特に、社外に出る書類や取引に関わる判断など、間違えたときの影響が大きい作業には、人が確認する工程を残しておきます。

総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」でも、AIのリスクに応じて、人間が適切に関与・監督することの重要性が示されています。

3. 効果を記録する

切り替える前と後で、作業時間や処理件数、人が対応した件数などを記録しておきます。数字で比べられるようにしておけば、乗り換えた効果を確認でき、次にどの業務へ広げるかを判断する材料にもなります。

導入の始め方や広げ方、効果の測り方は、以下の記事で解説しています。

よくある質問(FAQ)

RPAとAIエージェントの違いは何ですか?

RPAは、決められた手順をそのとおりに実行する仕組みで、同じ画面・同じ様式での入力や転記が得意です。AIエージェントは、目的に向けて情報を読み取り、状況に応じて判断しながら処理を進める仕組みで、様式がばらばらな書類の読み取りや文章の整理に向いています。

RPAが動いている会社でも、AIエージェントを導入する必要がありますか?

いまのRPAが安定して動き、効果も出ているなら、無理に替える必要はありません。画面の変更のたびに修正が必要になる、様式の違う書類に対応できない、例外が多く人の引き継ぎが減らない、といった課題がある業務から、AIエージェントの活用を検討するとよいでしょう。

RPAとAIエージェントは併用できますか?

併用できます。たとえば、決まった画面への入力や転記はRPAが担い、書類の読み取りや内容の整理はAIエージェントが担う形です。1つの業務の中で役割を分けることで、それぞれの強みを活かせます。

管理部門では、どの業務からAIエージェントに切り替えるとよいですか?

様式がばらばらな書類を扱う業務や、例外が多くRPAでは対応しきれていない業務から検討するのがおすすめです。まずは、処理件数が多く、導入前後の作業時間や確認件数を比較できる業務を選びましょう。また、誤りがあった場合に人が確認・修正できる体制を整えておくことも大切です。

まとめ

  • RPAとAIエージェントの違いは、新しさではなく、「決められた手順の実行が得意か」「状況に応じた判断が必要な作業に向くか」にあります
  • 管理部門でも、同じ部門の中で業務ごとに向いている仕組みは異なります
  • 使い分けは、「手順の固定度」「入力形式の統一度」「判断や例外の多さ」の3つの基準で判断できます
  • RPAを見直すときは、いまの仕組みを続ける・一部だけAIエージェントにする・併用する・AIエージェントへの乗り換えを検討する、の4つから業務に合う方法を選びます
  • 導入や乗り換えでは、まずは一部の業務から切り替え、人の確認を残し、効果を記録することが大切です

RPAとAIエージェントは、どちらか一方を選ぶものではありません。業務の中で、決まった手順の部分と、読み取りや判断が必要な部分を見分け、それぞれに合った仕組みを組み合わせることで、自動化の効果を高められます。

AIエージェントは、人を置き換えるためだけのものではありません。人が行っている定型的な作業を補助・代行し、担当者が本来注力すべき判断や調整に時間を使えるようにするための仕組みとして活用できます。

「自社の業務にはRPAとAIエージェントのどちらが合うか相談したい」「今のRPAを見直したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。業務の棚卸しから仕組みの選定、導入・運用までをご支援いたします。

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